
「仕事での昇進記念に購入し、数年間大切にしてきましたが、最近はダイバーズモデルに興味が移ってしまいまして。この時計が持つクラシックな雰囲気を気に入ってくれる方に繋いでもらえれば、新しい一本への踏ん切りがつきます」。そんな誠実なお言葉とともに、難波の店舗へお持ち込みいただいたのは、チューダーの洗練された美学が宿る『スタイル(Style)』でした。ロレックスのディフュージョンブランドとして始まった歴史を持ちながら、今や独自の地位を確立したチューダー。その中でも控えめな贅沢さを体現するモデルとの出会いに、鑑定士として身が引き締まる思いでした。お預かりした『12513』は、ステンレススチールとイエローゴールドを組み合わせたコンビモデルで、38mmという絶妙なケースサイズが日本人の腕によく馴染む一品です。ブラックのダイアルには、1950年代から70年代のヴィンテージウォッチを彷彿とさせるダブルベゼルやドルフィン針が採用されており、光の角度によってゴールドのインデックスが鋭く輝きます。派手すぎず、しかし確かな存在感を放つこのデザインは、フォーマルな装いをワンランク格上げしてくれる実力派。信頼性の高い自動巻きムーブメントを搭載し、日常使いにおける実用性とステータス性を完璧に両立させています。査定において私が最も注視したのは、フルーテッド(溝彫り)を施したベゼル部分のエッジの立ち方と、コンビブレスの伸びの状態です。ゴールドパーツはステンレスに比べて柔らかいため、研磨を繰り返すと角が丸くなりやすいのですが、今回のお品物は当時の鋭いエッジがそのまま残っており、非常に良好な個体であると判断しました。また、ブレスレットのコマ同士の隙間もタイトで、大切に扱われてきたことが一目でわかります。付属品であるギャランティカードや余りコマも完備されており、中古市場での再販価値が極めて高いことから、現在の相場における上限額を自信を持って提示させていただきました。こうした高級時計を所有されている皆様に、プロの視点からいつもお伝えしている注意点が「リューズの締め忘れ」と「磁気帯び」です。防水性能を備えたモデルであっても、リューズが緩んだ状態で手洗いや雨にさらされると、内部に湿気が侵入し、文字盤の腐食という取り返しのつかないダメージを招きます。また、スマートフォンのスピーカーやバッグのマグネットに近づけすぎると、時計の精度が大きく狂う原因となります。もし時間が急に進んだり遅れたりするようになったら、無理に動かし続けず、磁気抜きを含めた早めのメンテナンスをご検討いただくことが、将来的な査定額を高く保つ秘訣です。提示した買取金額をお伝えすると、お客様は「丁寧な解説のおかげで、納得して手放すことができます。これで心置きなく次の時計を選びに行けます」と、非常に晴れやかな笑顔で店を後にされました。私たちは、単に中古品として時計を見るのではなく、その時計が持つ歴史的価値や、オーナー様が注いでこられたメンテナンスの努力までをしっかりと評価に反映させたいと考えています。難波という時計愛好家が集まる場所で培った経験を活かし、皆様の愛機の価値を正摯に見極めます。もし、クローゼットで出番を待っているチューダーやロレックスがございましたら、ぜひ一度その輝きを拝見させてください。



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