
「若い頃、奮発して手に入れた思い出の時計なんです。最近は着ける機会も減ってしまって、このまま眠らせておくより、価値のわかる方に使ってもらえたらと思って」。そうおっしゃって丁寧に梱包を解かれたのは、ブライトリングを象徴するクロノグラフ、ナビタイマー92(D30022)でした。長年大切に保管されていたことがひと目でわかるほど、ケース全体から品格が漂っていました。人生の節目に寄り添ってきた時計を次の方へ橋渡しする、その重大な責任を噛み締めながら、一点ずつ丁寧に拝見させていただきました。持ち込まれたこの個体は、1990年代初頭の製造ですね。ナビタイマー92という名称は、当時のクラシックなサイズ感を色濃く残しており、現代の大型化されたモデルとは一線を画す「38mm」という絶妙なケース径が、時計愛好家から根強い支持を受けています。型番の「D30022」にある通り、ベゼル部分には18金無垢が採用されており、ステンレススチールとのコンビネーションが、華やかさと渋さを両立させている逸品です。クロノグラフとしての実用性と、ジュエリーのような高級感が共存するデザインは、まさにこの時代ならではの贅沢な設計といえます。鑑定において最も注力したのは、ナビタイマーの代名詞とも言える「回転計算尺」のベゼルの動作と、クロノグラフ機構のコンディションです。この回転ベゼルは、操作の滑らかさが個体の評価を大きく左右します。長年使用していないとグリスが固着しがちですが、この個体は非常にスムーズに回転し、メンテナンスの良さを物語っていました。また、クロノグラフのスタート・ストップ・リセットの各ボタンのクリック感も硬すぎず、機械式の心臓部であるムーブメントが健全な状態を保っていることを確認。金ベゼルの小傷についても、磨きすぎるとエッジがダレてしまうため、あえて過度なポリッシュは避け、当時の風合いを最大限に残すことで、市場相場における最高水準の評価を算出いたしました。精密機械である高級時計を所有されている方へ、常日頃から強くお伝えしている注意点がございます。それは「磁気」と「無理な操作」への警戒です。スマホやPC、家電など、現代生活は磁気に溢れていますが、機械式時計に帯磁してしまうと、精度の狂いだけでなく故障の原因となります。また、今回のようなヴィンテージ個体の場合、回転ベゼルが固着している際に無理に回そうとすると、内部のバネを傷めてしまうリスクがあります。もし動作が重いと感じたら、無理をせず専門家にメンテナンスを依頼することが、将来的な資産価値を守るための最善策です。査定額をお伝えした際、お客様から「この時計にこんなに価値があるなんて、大事にしてきて良かった」と安堵の表情をいただけたことが、何よりの喜びです。私たち鑑定士の仕事は、単に金銭的な価値を算出するだけでなく、その時計が歩んできた物語を尊重し、次の持ち主へ繋ぐことだと考えております。難波のこの場所で、皆様の大切な時計と向き合える時間は、私にとっても非常に貴重な経験です。ご自宅に眠っている時計がございましたら、その価値を確認するだけでも構いませんので、ぜひ一度気軽にお立ち寄りください。専門の知識を持ったスタッフが、誠意を持って鑑定させていただきます。



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