
「親から譲り受けたものですが、私には少し重厚すぎて……。価値がわかる方に使っていただいたほうが良いと思って」と、緊張した面持ちでご来店されたお客様。鞄から丁寧に取り出されたのは、18金イエローゴールドとステンレスのコントラストが美しい、ロレックスのデイトジャスト・ボーイズサイズ、リファレンス68273でした。数十年前に購入されたものとは思えないほど、シャンパンゴールドの文字盤は当時の輝きを失っておらず、時を刻む音も非常に力強いものでした。この68273というモデルは、1980年代後半から2000年頃にかけて製造されたロレックスのロングセラー機です。最大の特徴は、31mmという絶妙なケースサイズにあります。メンズモデル(36mm)では大きすぎ、レディースモデル(26mm)では視認性が物足りないと感じる層から、男女を問わず圧倒的な支持を受けてきました。また、風防には傷に強いサファイアクリスタルが採用されており、実用性とラグジュアリーさを完璧に両立させた、ヴィンテージロレックス入門としても最適な一台です。査定において私が特に厳しい目で確認したのは、この年代のモデルで最も差が出る「ジュビリーブレスレットのタレ(伸び)」と「ベゼルのエッジ」の状態です。金が含まれるパーツは柔らかいため、長年の使用で摩耗しやすいのですが、拝見した個体はブレスの芯がしっかりしており、ベゼルの山もしっかりと立っていました。さらに、リューズのねじ込み具合やカレンダーの切り替わりも完璧な精度を保っていました。これほど丁寧にメンテナンスされてきた個体は希少であるため、市場の流通価格の限界まで攻めた最高額をご提示いたしました。ロレックスのオーナー様に普段からお伝えしていることですが、もし「最近使っていないな」と感じたら、定期的にリューズを巻いて動かしてあげることをおすすめしています。機械式時計の内部には潤滑油が差されていますが、数年も放置すると油が固着し、次に動かそうとした際に歯車を傷めてしまう原因になるからです。また、もしブレスレットが汚れても、ご自身で強い洗剤や研磨剤入りの布を使うのは避けてください。表面の微細なヘアライン仕上げが消えてしまうと、査定額に影響する可能性があります。柔らかい布で優しく拭うだけで、その価値は十分に守られます。提示した査定額に、お客様は「そんなに高く評価してもらえるなんて」と驚きつつも、どこか誇らしげな表情を浮かべていらっしゃいました。私たちは、ただの金属の塊としてではなく、持ち主の方が大切にされてきた「歴史」ごと買い取らせていただく気持ちで向き合っています。難波の喧騒の中で、日々多くの名品に出会いますが、一つひとつの時計が持つ物語を大切に次へ繋ぐことが私たちの役割です。もし皆様の引き出しに眠っている時計がございましたら、動かなくても、古くても構いません。ぜひ一度その価値を確かめにいらしてください。



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